「動物の不思議」カテゴリーアーカイブ

魚でも生きるための顧客戦略が?!(ホンソメワケベラ)

6月25日のNHK「ダーウィンが来た」の番組で魚の不思議な行動に驚愕!題名は「海の名ドクター・ホンソメ先生の正体」。ホンソメワケベラは、他の魚につく寄生虫を食べて自らの栄養源にするとともに、他の魚を健康にする「海の名ドクター」で、ハタなど大きな魚の口の中も掃除する。ホンソメワケベラの周辺で多くの魚が順番待ちしている姿や、寄生虫を食べている間立ち泳ぎのようにして気持ちよさそうにしている姿が映し出されていた。ホンソメのひれでマッサージのサービスもして、お客の魚を喜ばしている。
びっくりしたのは。他の魚の表面にある粘液のほうが、寄生虫より高カロリーで必須アミノ酸もあり、ホンソメにとって好都合だが、これを食べるには表面に歯を当てて食べることになる。大きな魚は痛くて怒ってホンソメを追いかける。ホンソメはこの行為を、他の魚が少ないときに行うらしい。客を失いたくないため、お客の魚が多くいるときは、寄生虫を食べ、マッサージをする。そしてお客の魚が少なくなれば、表面の粘液をかじる。客を失うことを最小限にするための窮余の策だ。
ハタなど小魚を食とする魚が、ホンソメとなると口の中に入っても決して食べることはないのはなぜか?番組の中でかまぼこを使ってホンソメに似た横縞模様のものと縦縞のものを作り試したところ、縦縞のものはすぐ食べてしまうが、ホンソメに似た横嶋のものは食べなかったそうだ。そのため、偽ホンソメも出現しているとのことだ。番組の内容は

人間だけではなく、動物も生きるための熱意が進化につながり、種が保存される。必死に生きようとする熱意に応える神様の仕業としか考えようがない。
これまでにも何度か「ダーウィンが来た」に出てきた動物の不思議さを当ブログで紹介している(http://okinaka.jasipa.jp/archives/198など)が、世界で初めての撮影と言う場面も多く、ほとんど毎回見させてもらっている。

生命は利己的ではなく、本質は利他的のはず!

朝日新聞12月3日朝刊から、動的平衡理論で有名な生物学者で青山学院大学教授福岡伸一氏のコラムが始まった。最初のテーマは「生命の惜しみない利他性」だ。

「横浜みなとみらい駅で降りて、長いエスカレーターを上っていく。すると黒い大きな壁一面に端正な碑文が刻まれている。独語の詩とその和文。これはいいたい何だろう。」で始まるコラムだ(インターネットで調べると、クイーンズスクエア横浜のステーションコアにあるパブリックアートで“The Boundaries of the Limitlessというタイトルの作品だ)。

この詩は18世紀のドイツの詩人フリードリッヒ・フォン・シラーの詩で、壁面自体は米国の現代アート作家ジョセフ・コスースの作品とか。コラムで紹介された詩を下記する。

  • 樹木は、この溢れんばかりの過剰を、使うことも、享受する事も無く自然に還す
  • 動物はこの溢れる養分を、自由で、嬉嬉とした自らの運動に使用する

福岡氏は、上記詩の「過剰」にハッとする。「そのとおりだ。もし植物が、利己的に振る舞い、自分の生存に必要最小限の光合成しか行わなかったら、われら地球の生命にこうした多様性は生まれなかった」と言う。さらに「一次生産者としての植物が、太陽のエネルギーを過剰なまでに固定し、惜しみなく虫や鳥に与え、水と土を豊かにしてくれたからこそ今の私たちがある。生命の循環の核心をここまで過不足なくとらえた言葉を私は知らない。生命は利己的ではなく、本質的に利他的なのだその利他性を絶えず他の生命に手渡すことで、私たちは地球の上に共存している。動的平衡とは、この営みを指す言葉である。」と。

殆どの人が急ぎ足で通り過ぎるなか、碑文に心打たれる人も多いようだ。インターネットで調べると多くの記事が出てくる。その中には、「植物は無事芽吹くことができるよりはるかに膨大な種を実らせ、魚は成魚にまでならない卵を大量に生むが自然は産み出したものをただのごみにすることはなく、余った種や卵は他の生物に食べられたり、分解されてまた養分になったりすることで、次の生命の滋養となる。人間はその大量生産だけを真似ていますが、人間の創るものはいつも不完全で、使われなかったものはごみになってしまう。」と人間社会の不合理性を説く方もいる。

地球も人口がいずれ100億人を超え、食糧危機に陥ることが懸念されている。厳しい自然淘汰の世界を生き抜いてきた植物や、動物の知恵に学ぶことも多いと思うが・・・。

忍術を操る鳥、ヨシゴイ

日曜日夜7時30分~のNHK番組「ダーウィンは来た」は」私の好きな番組です。いろんな動物が生きるために進化し、環境にうまく適応した動物だけが生き残っている様子が、分かりやすく捉えられています。

25日のテーマは「忍術を操る鳥」。新潟県の越後平野にある瓢湖は、田んぼに囲まれた小さなため池ですが、ハクチョウなども飛来する水鳥の楽園です。ここに、一風変わった鳥が暮らしています。全長30センチあまり、体重100gほどのサギの仲間のヨシゴイ(ヨシ原に住むことでこの名前がついた?)。一日の大半を、水辺に生えるヨシの茂みに潜んで過ごしている。ヨシ原を歩くときは、ヨシの茎を足でつかみ、地上に降りることなく草を渡り歩きます。人呼んで“忍者歩き”。上空からトビなどの敵が近づけば、ヨシの葉そっくりになりきる(子どもも本能的に同じ行動をとる)“葉隠れの術”で身を隠します。そして水面がハスの葉に覆われると、不安定なハスの葉を軽々と移動。この様子はまるで“水ぐもの術”です。狩りの腕前も超一流。ヨシやハスの茎にじっと掴まり、身じろぎもせずに獲物を待ちます。そして小魚が近づいた瞬間、首を普段の2倍以上の長さに伸ばし、一瞬で仕留めるのです。狩りの成功率は90パーセント、1日に200匹獲る、動物界トップクラスの名ハンターです(カワセミが成功率60%、チータが50%)。初夏、子育ての季節を迎えると、ヨシゴイは水辺に生えるヨシの茎を器用に編み込み、空中に浮かんだ巣を作ります。陸からも空からも敵の襲来を寄せ付けない完璧防御のすまいは“忍者屋敷”そのものです。暮らしの全てをヨシに頼り、忍術さながらのスゴ技を操って生き抜く鳥ヨシゴイも生き抜くために進化してきたのです。

以前、NSD社員向けのブログで、同じ番組で紹介された「川の水面を走るバシリスク」、「シカゴで大量発生した17年ゼミ」、「あきる野市などに生息する投げ縄クモ」などを紹介しました。そこには、 厳しい生存競争や、環境変化の中で、生き延びるために進化した姿があります。昔、上司から良く言われました。「サルでも、犬でも努力する。人間だったら知恵を使え!」と。しかし、動物でも頭を使い、進化している姿に驚くとともに、人間として考えさせられます。